病院の廊下は、果てしなく続くのではないかと錯覚するほどに長く感じる。
終わりの見えない真白な空間。その錯覚を払拭するように首を振ると、いつもと変わりない廊下の光景が広がる。それにひとつ息を吐いてから、点滴台を右手で押して一歩ずつ足を進めた。
身体が鉛のように重い。調子が良い時は散歩をしろと言われても、変わり映えのしない病院の廊下を歩くのは正直つまらないし、何よりこんなことになんの意味があるのかと苛立ちすら感じてしまう。
「はぁ……」
今日何度目かもわからないため息が、わたしの口から外に逃げていった。……すると。
「おーい、ため息ばっかりついてると、幸せ逃げるぞー?」
「……は?」
どこからか聞き覚えのある陽気な声が聞こえてきて、わたしは眉を顰めてそちらを振り向いた。
「よぉ、月音。久しぶり〜」
そこには、とても病院の中とは思えないくらいに明るく笑いながら手を振る男が一人。
「……陽太、くん?」
わたし、天川月音と同い年の中学二年生、東雲陽太の姿があった。
「なんでここにいるの? ……もしかしてまた戻ってきたの? 今年何度目!?」
「ははー、今度はぶっ飛ばしてた自転車にドーン! って突っ込まれまして……。でも見ろよ! 奇跡的に骨折れてねぇの! だから今回は検査入院だけですぐ退院できそうなんだ」
「……不死身? ねぇ不死身なの?」
「ははっ、だろー? ありがとうありがとう」
「いや褒めてないから」
包帯をぐるぐる巻きにされた腕を自慢げにわたしに見せてくるけれど、とても事故って入院している人のすることとは思えない。それに、全く褒めていないのにこの男はなぜか嬉しそうに笑っていた。
終わりの見えない真白な空間。その錯覚を払拭するように首を振ると、いつもと変わりない廊下の光景が広がる。それにひとつ息を吐いてから、点滴台を右手で押して一歩ずつ足を進めた。
身体が鉛のように重い。調子が良い時は散歩をしろと言われても、変わり映えのしない病院の廊下を歩くのは正直つまらないし、何よりこんなことになんの意味があるのかと苛立ちすら感じてしまう。
「はぁ……」
今日何度目かもわからないため息が、わたしの口から外に逃げていった。……すると。
「おーい、ため息ばっかりついてると、幸せ逃げるぞー?」
「……は?」
どこからか聞き覚えのある陽気な声が聞こえてきて、わたしは眉を顰めてそちらを振り向いた。
「よぉ、月音。久しぶり〜」
そこには、とても病院の中とは思えないくらいに明るく笑いながら手を振る男が一人。
「……陽太、くん?」
わたし、天川月音と同い年の中学二年生、東雲陽太の姿があった。
「なんでここにいるの? ……もしかしてまた戻ってきたの? 今年何度目!?」
「ははー、今度はぶっ飛ばしてた自転車にドーン! って突っ込まれまして……。でも見ろよ! 奇跡的に骨折れてねぇの! だから今回は検査入院だけですぐ退院できそうなんだ」
「……不死身? ねぇ不死身なの?」
「ははっ、だろー? ありがとうありがとう」
「いや褒めてないから」
包帯をぐるぐる巻きにされた腕を自慢げにわたしに見せてくるけれど、とても事故って入院している人のすることとは思えない。それに、全く褒めていないのにこの男はなぜか嬉しそうに笑っていた。



