「あ、笑った」
「え?」
白銀くんは瞬時に笑みを消し、再びの無表情で私を見た。
「あ。いや、その、ごめん。春宮くんと違って、白銀くんは滅多に笑わないでしょう? 私に対して笑ったのは初めてだったから、嬉しかっただけなの」
私は慌てて手を振った。
「……。いや。こっちこそ、ごめん。感情を表に出すのは、苦手で」
白銀くんは自分の頬をつまんだ。
それから、ムニムニと頬を動かす。
どうやら、力ずくで表情筋を動かそうとしているみたい。
「昔からそうなんだ。これでも、だいぶマシになったんだけど。光成と知り合うまでは、『人形みたいで怖い』とか言われてたし……」
白銀くんはしばらく頬を動かした後で、諦めたように手を下ろした。
「春宮くんと知り合ったのは、幼稚園の頃なんだよね?」
「ああ。集団生活に馴染めず、教室の隅にいたおれに声をかけてきたのが光成。光成は変な奴だった。おれが他人に無関心で、しゃべるのも嫌いだって知ってからは、ただ黙ってそばにいた。光成は人気者で、いつも引っ張りだこだったのに、何故か気づけばおれの近くにいるんだ。それも、べったりってわけじゃなくて。つかず離れずって感じの、微妙な距離を保ってた。きっと、おれに気を遣ったんだろうな」
当時のことを思い出したのか、白銀くんは微かに笑った。
「最初は『なんだコイツ』って思ってたけど。そのうち、だんだん話すようになって。といっても、本当に、気が向けば話すって感じで、ほとんど黙ってたけど。沈黙が気にならない他人は光成が初めてだったな……って。こんな話をしてもつまらないよな」
白銀くんは気まずそうな顔をして、口を閉じた。
「え?」
白銀くんは瞬時に笑みを消し、再びの無表情で私を見た。
「あ。いや、その、ごめん。春宮くんと違って、白銀くんは滅多に笑わないでしょう? 私に対して笑ったのは初めてだったから、嬉しかっただけなの」
私は慌てて手を振った。
「……。いや。こっちこそ、ごめん。感情を表に出すのは、苦手で」
白銀くんは自分の頬をつまんだ。
それから、ムニムニと頬を動かす。
どうやら、力ずくで表情筋を動かそうとしているみたい。
「昔からそうなんだ。これでも、だいぶマシになったんだけど。光成と知り合うまでは、『人形みたいで怖い』とか言われてたし……」
白銀くんはしばらく頬を動かした後で、諦めたように手を下ろした。
「春宮くんと知り合ったのは、幼稚園の頃なんだよね?」
「ああ。集団生活に馴染めず、教室の隅にいたおれに声をかけてきたのが光成。光成は変な奴だった。おれが他人に無関心で、しゃべるのも嫌いだって知ってからは、ただ黙ってそばにいた。光成は人気者で、いつも引っ張りだこだったのに、何故か気づけばおれの近くにいるんだ。それも、べったりってわけじゃなくて。つかず離れずって感じの、微妙な距離を保ってた。きっと、おれに気を遣ったんだろうな」
当時のことを思い出したのか、白銀くんは微かに笑った。
「最初は『なんだコイツ』って思ってたけど。そのうち、だんだん話すようになって。といっても、本当に、気が向けば話すって感じで、ほとんど黙ってたけど。沈黙が気にならない他人は光成が初めてだったな……って。こんな話をしてもつまらないよな」
白銀くんは気まずそうな顔をして、口を閉じた。



