冤罪で聖印を奪われた令嬢、辺境で本物の大聖女になる ~傲慢令嬢ヒストリアの救済証明~

ーーーーヒストリアは目を瞠ったまま瞳に涙を溜めていた。

ロイドに従い後ろを歩むルーメンの背が、遠くなってゆく。

「解除すればこいつは自害する」

その言葉は重く響く。

地下牢の扉は冷たい音を立てて閉まり、足音も聞こえなくなった。
針金が幾重にも巻き付いて縛られた身体は動かそうとすると錆が肌をやすりのように撫でヒリヒリと痛む。

早く、助けに行かないと。

もがいても血が滲むだけで解くことは出来ない。
悔しさに固く目を瞑ると涙が頬を伝った。

事前に対策すると言ってルーメンが考えたのはヒストリアの声の波形を聖石に閉じ込め流すというもの。

理屈上は効果が見込めるはずと考えていたが、しかしアリアには効かなかったのだ。

そして何より……何も出来なかった。


ヒストリアは薄暗い床を睨みつけながら喉が震えて熱くなるのを感じる。
冷たい視線だった。

ヒストリアを見下ろしたルーメンの感情の消えた瞳を思い出す。

ーー約束したのに、私のせいだ。