「いつもいつもなんと!!皆さんの前で怒るなんて鬼っ!そげんばっかゆっちょると、ヤエちゃんこそ嫁のもらい手だぁれもおらんでねっ」
「はいはい、そうとそうと。湯呑みにお茶も淹れられんあんたに言われようなかよ〜?」
「ぐっ……、お茶くらい100杯でも200杯でも淹れちゃるもんっ!ささ、どうぞ!いっぱい飲んでくださいっ」
「はは、うん、ありがとう」
「ハルミちゃんハルミちゃん!俺にも頼む!」
そんなものが日々の食事の際、いつからか俺たちが楽しみにしている風物詩のようなものだった。
まあまあと宥めたところで「黙っといてください!」と逆に言われてしまうため、今ではこの痴話喧嘩さえ、おかずの1つだ。
「やえ子ちゃん」
食事が終わり、女学生たちが日の暮れ始めた兵舎を出ていくところで。
俺は最後尾を歩いていたやえ子ちゃんを呼び止めた。
彼女は先ほど、ハルミちゃんに強く叱っていた女の子だ。
ハキハキとしていてしっかり者なやえ子ちゃんは、女学生たちのなかでも統率者のような存在なのだろう。
長話するつもりはない旨を伝えると、快くうなずいてくれる。



