1945年、君を迎えに行く。





「いつもいつもなんと!!皆さんの前で怒るなんて鬼っ!そげんばっかゆっちょると、ヤエちゃんこそ嫁のもらい手だぁれもおらんでねっ」


「はいはい、そうとそうと。湯呑みにお茶も淹れられんあんたに言われようなかよ〜?」


「ぐっ……、お茶くらい100杯でも200杯でも淹れちゃるもんっ!ささ、どうぞ!いっぱい飲んでくださいっ」


「はは、うん、ありがとう」


「ハルミちゃんハルミちゃん!俺にも頼む!」



そんなものが日々の食事の際、いつからか俺たちが楽しみにしている風物詩のようなものだった。

まあまあと宥めたところで「黙っといてください!」と逆に言われてしまうため、今ではこの痴話喧嘩さえ、おかずの1つだ。



「やえ子ちゃん」



食事が終わり、女学生たちが日の暮れ始めた兵舎を出ていくところで。

俺は最後尾を歩いていたやえ子ちゃんを呼び止めた。


彼女は先ほど、ハルミちゃんに強く叱っていた女の子だ。

ハキハキとしていてしっかり者なやえ子ちゃんは、女学生たちのなかでも統率者のような存在なのだろう。


長話するつもりはない旨を伝えると、快くうなずいてくれる。