1945年、君を迎えに行く。





ぜったい治してやると、あのときも強すぎる意思と覚悟で誓っていた。

その覚悟だけを持って未来─現代─にやってきたと後付けでも理由にするなら、それもまた正当な理由だと私は思う。



「ねえ、ひとつ気になることがあるんだけど。オリジナルの鳥海は病気じゃなかったってこと…?兵士になれてるくらいだから」


「…そうとは言い切れない。俺が病気っていうのは、俺という人間の生まれ持った性質であり…特徴だ」


「じゃあどの世界線だとしても病気であることは変わらないんだ…。だったらその薬、私がいつかオリジナルのあんたにも届けてくる」



きっと鳥海自身は過去には戻れない。

平行世界の鳥海がオリジナルの鳥海に会いにいくことは、たぶん叶わない。


同じ時代にちがう世界線の自分たちが揃ってしまうほうが、かえって時空の歪みを生んでしまうんじゃないか。


だったら私しか居ない。

この落とし物を拾ったのは私なんだから、持ち主が「返して」って言うまでサイコロは返さなくていいルールだ。



「あんたがここで作った薬を、私が向こうの鳥海にも届けてくる。だから……“隼人”。そんな泣きそうな顔しないでよ」



ただ黙っているマッサンの隣でせつなく肩をすぼめた隼人は、眉を寄せて笑った。