「だから俺は、ここにいる俺は……どこにも存在してはいけなかった俺なんだ」
オリジナルの本物は失敗し、平行世界の俺が間違いで来てしまった。
俺はあの時代で、あの町で、母親とふたりで暮らしながら町の臆病者として薬を作り続けていればよかったんだ。
────兵士になれず、空も飛べず、惨めに惨めに。
「馬鹿じゃないの」
弱音を切り捨てるように否定すると、鳥海は瞳を揺らして泣きそうにした。
「じゃあどうして私に話しかけたの?初めて会ったとき……私の前にわざわざ自己紹介しに来たよね」
「………、」
「それは…“私の友達”として、あんたがここに存在したかったからでしょ」
あんたのせいじゃない。
ぜんぶ、あなたは何も悪くない。
オリジナルの鳥海のミスで、たまたま来てしまっただけ。
そんなのあんたからすればいい迷惑でもあるでしょ。



