1945年、君を迎えに行く。





「すごいな……この場所は」



物知らずとか世間知らずとか、そういうことじゃなくて。

噛み締めるように放たれた言葉から滲み出る切なさと静かさ、温かさ、儚さ。


一体どこから来るものなんだろうと、心の奥がツキンと音を立てた。



「鳥海。本題はここからなんだけど」



また空気感を戻した鳥海の前、私はひとつのお手紙を差し出す。

シンプルな無地かと思えば端に小さなクローバーがついたレターセットは、私に頼んできた彼女そのものだ。



「これ、杠さんから」


「…………」


「よかったね。ラブレターだよ」



予想の斜め上だったのか、差し出した手紙を受け取ろうとしない鳥海。

とりあえず目の前に置いて、私は残ったシフォンケーキをフォークで切り分ける。



「ちゃんと読んであげな?たぶん、すっごいたくさん書いてるだろうから」


「…俺は杠と話したことなんかない」


「なら、これがきっかけになるわけだね」



あ、そうだ杠さん。
この喫茶店は決してデートじゃないから安心して。

むしろあなたのお手紙を渡すための口実。