「鳥海ってさ…、たぶん甘い物好きでしょ」
「………、」
「…黒糖飴とか。好きなんじゃない?」
試したと言われれば、そうだ。
軍服に入れていたくらいなんだから、相当なお気に入りのはず。
しかし予想は外れ。
冷静に首を横に振った同級生がいた。
「俺は黒糖飴はそこまで好きじゃない」
「え」
「渋すぎないか。…そんなもの昭和にしかないだろ」
「昭和…かあ。一応は現代にも売ってるけどね?」
「…………」
おかしな会話。
お互いの揚げ足を取るみたいな、妙な気まずさがあった。
「おまたせしました」
と、いいものとは言えなかった空気を消すように運ばれてくる、お待ちかねの自家製シフォンケーキ。
「飲み物は野菜ジュースでいいかい?ごめんよ、コーヒーや紅茶ばかりでジュースはこれくらいしか用意していなくてね」
「大丈夫です。ありがとうございます」
これも果肉がたっぷり入っていそうな、自家製のものだろう。
にんじんの甘い匂いがふわりと広がった。



