1945年、君を迎えに行く。





「意味わかんない……」


「それは僕のセリフだ。ここは保健室じゃないぞ」



私にとっての保健室は理科準備室なんだ。

今日も今日とて薄暗い準備室で、よく分からない物質を調合してはカタカタと記録しているマッサン。


定位置でもある回転チェアにおもむろに座った私は、白衣の教師の背中をぼうっと眺める。



「この黒糖飴。これ……昭和20年製なんだって」


「ほう…。またそれはかなりのヴィンテージ物じゃないか」


「…本当なんだって。私、すっごい体験したのマッサン」



黒糖飴なんて、施設にだってないよ。

現代の子どもが黒糖飴を求めて喜んで食べる世界線、どこにあるの。


むしろ私だって人生で初めて手にしたかもしれないレベルだ。



「なんだ?過去にタイムスリップでもしたか」


「……した…、そうっ、した!!」


「………おっと。これはマルか」



そりゃ信じられないよね。

当たり前だ、狂ってるよ普通に。


でも黒糖飴。

この包み紙だって、夢のなかで渡されたものとまったく同じだ。