これは自分の人生のなかでも不思議な体験になるはずだから、それこそ昨日と違うことをしてやろう。
私は理科準備室には行かなかった。
「おや。花折さんだ!」
休み時間、向かった図書室。
ちゃんと忘れず持ってきた本を片手に。
貸し出しカウンターに座る廣岡先輩は、さっそく持参の漫画から目を離して嬉しそうにした。
「廣岡先輩。本、返しにきました」
「はいは〜い。そうだっ、来月の新刊号が特典つきだって話したっけ!?」
「…聞きました」
「あちゃ〜、話しちゃったか〜!」
うそ。
本当は聞いてない。
なんとなく長くなる予感しかしないから、休み時間を有意義に使うためにもごめんなさい先輩。
「あの、先輩。…前世とかを取り扱った面白い漫画とかって、あります?」
あ、失敗した。
聞かなきゃよかったと、キラリと目を輝かせた先輩を前に怖じ気づく。
今日という日の2回目の休み時間は、意味を見出せないもので終わってしまった。



