ずいぶん変なことを聞くんだなって、そんな顔さえ向けないで答えてくれるんだ…。
夢って都合がいい。
都合がいいのに、風も、温度も、匂いも、声も。
目の前に立つ兵士にさえ。
ぜんぶに触れられてしまう不気味さが、違和感。
「本当にそんな格好…してたんだ…」
現代の日本人にはない聡明さと逞しさ、気丈さがある。
こんなものを見せてくれた夢は、私に何を考えさせようとしているのか。
鳥海 隼人にもう少し優しくしろって、仲良くしろって、そんなメッセージだったりする?
だとするならこれは鳥海の呪いだ。
「俺は戻らなくてはいけない。また時間があったら話そう。…志緒も、気をつけて」
そこで返事の代わりに地面に落ちた、サイコロ。
「っ…!それは……やっぱりか…、」
彼が何かを言ったタイミングで、まばゆい光と秒針音に私は包まれる。
異空間、そして浮遊感。
やっとか……と、不思議な緊張がここに来てほぐれた。
ギリギリのところでサイコロを手にして、完全に消えるまで私は軍服姿の青年と見つめ合っていた。



