「ッ…!!」
背後から世界が真っ二つに割れる気迫。
迫りくる歪み。
世界の崩壊。
飲み込まれたならもう、私が私として存在した世界は綺麗に幕を閉じるのだろう。
ぐにゃりと自由自在に変形する時空間のなか、私はそれでも屈せず、根気強く走り続ける。
「はあ…っ、はっ…、いけ…ッ」
飛んでいけ。
もっと高く、私のぶんまで、飛んで飛んで。
風間さん、ハルミちゃん、ヤエちゃん。
みんなの思いを乗せて………飛べ。
「飛んで、いけ……っ!!空高くっ、もっともっと…ッ、飛べぇぇぇーーー!!!」
飲み込まれる寸前。
喉から、全身から、叫んだ。
それが鳥海 隼人という人ならば。
あなたらしいと笑うことはできそうだ。
涙は不思議と出なかった。
ゴオオオオオーーーーー!!!!
覇気に満ちた音に変わった隼─はやぶさ─は、出力を上げたエンジン全開で空の彼方へ飛翔していった。
「とり…うみ…っ、────…大好きだよ、」
伝えられなかったこともまた、代償。
弾け飛ぶように消えたサイコロ。
それでもいいと納得できるくらいには。
─────私は心から、彼に恋をしていた。



