燃料漏れ、エンジン故障、悪天候。
つぎ神様が与えてくれそうな幸運を考慮したとき、まず最初に思いつくものは「成功」という名の終わりだった。
そうはさせるものかと抗おうとしたって、なぜか「今度こそは」という覚悟と前提からは逃れられそうにない。
「寒くないか?」
「…うん」
穴場らしい神社に2回目となる足運び。
境内に肩を並べるのも2回目。
思い出したように肩にかけたバッグから鳥海が取り出した、これもまた見慣れたもの。
笹に包まれた握り飯。
若い青年が喜びそうなサイズに作られたおにぎりは、おばちゃんの愛情だ。
「…おばちゃんにお願いしたの?」
「ああ。本当はひとりでここで食べようと思っていたんだ。そしたらちょうど志緒が来てくれた」
「……いらない。鳥海がぜんぶ食べて」
「一緒に食べよう。俺もそのほうが…嬉しい」
聞くしかなくなる。
どんなに食欲がなかったところで、口にもできなかったとて、明日には散っていく命の願いともあれば。
それでいいのか、そんなことでいいのかと、怒りたくもなる。
静かに食べて、静かに手を合わせて。
気を緩めてしまえば壊れそうになる涙腺を、なんとか押し込めた。



