「お友達の方ですか?彼は今、誰よりも頑張っています」
そんなの見ればわかると、変な八つ当たりをしてしまいそうになった。
この時代なら医療器具も薬も技術も揃っているはずだ。
足りないものはないでしょ。
先進国であるこの豊かな国では。
何もかもが足りないなかで強大な敵を相手にしていたあの時代とは、比べものにならないほど。
『なんで俺?』
「いや…たまに帰って来ないときあるじゃん。だから慣れてるかなって」
『つまり俺に代わりに説明しとけってこと?朝帰りしてくることを?つーか志緒が泊まりなんか初めてじゃね。彼氏?』
「………友達」
19時を過ぎて、私は院内のロビーから兄妹のように育った男に電話をかける。
いつも遊んでいるのか何をしているのか分からない俊太郎だからこそ、門限破りの常習犯として上手く誤魔化してくれるだろうと思ったのだ。
職員たちに心配をかけないためにも裏付けは必要だった。
俊太郎も把握しているとなれば、年頃だからというラインを引いてくれて詮索されないだろう。



