「すみませんっ、ごちそうさまでした!」
お釣りはいらないので!と、1000円をテーブルに置いて私は勢いよく立ち上がる。
ここから近いところにあった。
元の世界でも隼人が入院していた病院が。
どうして忘れてたの、私。
「ちょっと待ちなさんな」
「えっ」
「顔色が良くないわ。こんなものしかないけれど、食べると元気になるから」
そう言って、奥さんに渡された飴が2つ。
パインアメ。
私の好物が、まさかこんなところでも渡されるなんて。
顔色が良くない人を前にすると、昭和を生きていた人間たちはみんな飴玉をくれるのだろうか。
「ありがとう…ございます」
朗らかに笑った女性を、脳裏に焼き付ける。
「はっ…、はっ!あのっ、とりうみっ、鳥海 隼人っていう人はここに入院していませんか…!」
喫茶店を出て、一目散に病院へ。
息切れしながらも受付で問いかけてみると、看護師さんは目を真ん丸くさせてから何かに気づいたように目尻を下げた。



