「あの、ここに…いつも通っている高校生はいませんか?」
「え?高校生…?そんな子は君が今日、初めてだよ」
「そう…ですか」
「ここは常連ばかりだからねえ」
唯一の手がかりが無くなった。
これでどうやって見つけ出せばいいかと絶望を感じていると、テーブルにちょうど運ばれたシフォンケーキ。
「あっ、じゃあ、このシフォンケーキをいつも頼むお客さんとか…いませんか」
「……いたよ。けれど彼は病気がちでね、少し前から入院してしまったんだ」
「っ!」
「どうかしたのかい…?おっと、そんなに急いだら詰まらせてしまうよ」
病気がち、入院。
その情報だけで私は、シフォンケーキを野菜ジュースで強引にも流し込む。
もっと味わって食べたかった。
せっかくマスターの奥さんもいるんだから、もっといろんな話を聞きたかった。
でも……、でも。
ここじゃないの、私たちが笑い合っていた世界は。



