1945年、君を迎えに行く。





「施設……」



そうだ、レオは母親から虐待を受けていたんだ。

いま私を横切った親子からは想像もつかない。



「いらっしゃい。…お、若いお客さんは珍しいね」


「好きなところ座っていいからね。外は暑かったでしょう」



カランカランとベルを響かせて店内に入れば、カウンターに立っているマスターと。

花瓶を手にした女性が振り返った。


彼女は誰だろう…?


まるで前からずっと居たかのような板についた動きで案内してくれる。



「オススメはシフォンケーキよ。でも今の若い子はそんなもの食べないかしら?」


「…えっと、」


「ジュースは無料でサービスするからね。ねえ、あなた。いいでしょう?」


「ああ、もちろん。野菜ジュースは飲めるかい?」


「ふふ。主人の手作りなの」



─────……わかってしまった。


この世界は、後悔を消した世界。
未練をなくした世界。

あの日に戻りたい、あのときをもう1度味わいたい。


そんな誰もが抱えた切なさを、神様が消しゴムで無かったことにしてくれた素敵な世界なんだと。