「歪みの調整。どうやら僕たちは甘く見ていたらしい」
「………ゆがみの…ちょうせい…、」
「思い出せ。友人である君が鳥海を消そうとしてどうする」
「っ!トリウミ…、そうだ、鳥海!!先生っ、鳥海のことだけは知ってる…!」
先生の顔色は変わらなかった。
むしろ私がそう言ったことで、もっと険しさが深まった。
「知ってる…?君のなかではその程度になってしまったのか」
「とりうみって……どんな人、だっけ…?」
顔も、性格も、何もかも思い出せない。
記憶のなかに影がかかったように、何かがずっと邪魔をしている。
「この世界のどこかにいるはずだが…、僕は君と笑い合っている18歳の鳥海が好きだったよ」
この人は何かを知っている。
理科準備室、火に炙られたフラスコ、何かを記録しているパソコン。
誰も使う人間なんか居ないんじゃないかと思うソファー。
私はこの景色を知っている。
そしてここに、もうひとり………居た。



