「ここにいたら…会えるんじゃないかと思って」
たったいま時空を超えてきたかのように、俺に微笑みかける花。
やえ子ちゃん、さっき言ったことは間違っていたから訂正させてくれ。
「会いたいと思って会える子ではない」と言ったが、そんなことはなかった。
俺が会いたいと思ったとき、必ずその子は現れてくれるんだ。
今日のように、俺の前に。
「俺は今日を合わせて2回……生き残ってしまった」
今日、さっきにも飛び、本当であれば空と共に散っていた命。
こうして川のせせらぎに耳を澄ませる時間など、俺には幸せすぎる。
「風間は……飛んだよ。あいつは、大義を全うしたんだ」
せめて志緒のなかではそうあってほしい、と。
風間 当という男は惚れた幼馴染の笑顔のため、空を飛んだことにして欲しいと。
俺の隣に腰掛ける志緒は、顔を伏せながら黙って聞いていた。



