そこに志緒がいたらと想像し、俺はやっぱりこれでいいんだと納得する。
航空帽に付けていたゴーグルを下ろし、装着。
「おまえと会えてよかったぜ鳥海!将棋の決着は靖国でつけよう」
「…おまえの勝ちでいい」
もう、勝敗などついている。
こればかりは精神論でどうにかできることじゃないと、嫌なほど分かっているというのに。
認めることもまた、勝利ではないのだろうか。
「おいっ!エンジンがかからないぞ…!くそっ、また故障か…!?」
それは、俺が乗ろうとしていた機体だった。
何機目の故障だ…と頭を抱える技術者は、エンジンを止めて長官へと何かを報告しに走り向かう。
戻ってきた技術者は、真っ先に俺のもとへ。
「どうした?」
「すみません、エンジン故障です。本日の出撃は見送りとなりました」
「…………」
すでに仲間たちは乗っているんだ。
こういったトラブルは珍しくはない。
珍しくはないが、自分に当たってくることはまさに運としか言いようがない。
俺は落胆のような、安堵のような、よく分からない気持ちで立ち尽くしてしまった。



