1945年、君を迎えに行く。





「鳥海。志緒ちゃんには会えたのか」



自分の最後だというのに、なぜこうも周りのことを気にしてくるんだ。


おまえも会いたい人はいただろう。
惚れている女が、いるんだろう。

彼女に手紙は出したのか、出撃を知らせることはできたのか。



「…俺の場合は会わないほうが逆にいいんだ」



顔を見てしまったら、俺はきっと揺らいでしまう。

まだ信念も志も決まりきっていない半端者なのだから。


風間、おまえはすごいよ。


今日の出撃も、なにも恐れぬ顔をしている。

むしろ長官から命令が下った際、おまえは喜んでもいたくらいだ。


………いいや、恐れを超えてしまった反応なのだろうか。


特攻を喜んでやる人間など、いるわけがない。
いるはずがないから、最後の一手なんだ。



「じつは俺もなんだ、鳥海。…俺もさ、洋子には知らせてない。むしろ“元気でやってる”とまで言っちまったくらいだ」


「…なぜだ」


「そりゃあ、おまえと一緒だからだよ」



技術者たちがそれぞれの機体にエンジンをかける。

プロペラが回り、ぶわっと砂ぼこりを立たせ、滑走路沿いには並んだ少女たちが花を手にして俺たちを見送ろうとしていた。