夕方以降の出撃は視界も見えなくなるため少ない。
つまり今日最後の出撃は、俺たち第44振武隊ということだ。
「私も必ず征くから案ずるな。君たちの健闘を心から祈っている」
くいっと一気に飲む酒は、強がっても美味いとは言えそうにない。
噂ではチョコレートを手にしている特攻兵もいると、誰かから聞いたりもした。
それは脳を麻痺させるクスリが入っているらしく、恐怖心を紛らわせる麻薬。
暗黙の了解というやつだった。
盃を終えてから出撃までの時間はそれぞれの部隊で集まり、静かな談笑をしたり鼓舞し合ったりする。
「靖国に行ったらよ、とりあえず美味いモンたらふく食いてえなあ」
「まったく、おまえは食うことばっかだな」
「当たり前だ。そこでくらい…人間らしいことしてえんだよ」
「…おう。みんな、しばしの別れだ。また笑って逢おう」
俺は空をずっと見上げていた。
すると、トンッと肩を叩いてくる風間。



