「志緒ちゃんには…、会わんでよかとですか…?」
「…会いたいと思って会える子ではないからな」
「また……消えちょりましたもんね…」
「……俺にはそれくらいがちょうどいいんだと思う」
彼女の涙はいちばん見たくない。
それならば、俺が飛び立ったあとに現れて、俺の名前を何度か呼んでくれる程度でいいんだ。
生きる時間がちがう俺たちは、それくらいのすれ違いがちょうどいい。
「ウチ…、志緒ちゃんにひどいことをゆってしもた……」
志緒、許してやってくれ。
やえ子ちゃんはやえ子ちゃんで必死なんだ。
この時代は君が生まれた時代より、ずっとずっと優しくないから。
「大丈夫さ。…きっとまた、志緒は現れる」
「え…?」
「短い間だったが、いろいろありがとう。やえ子ちゃん」
本日の空は曇天。
朝から何機もの隼が空へと消えていった。
俺の出撃は夕方前となり、飛行場にて仲間や上官たちと儀式でもある盃を交わす。



