1945年、君を迎えに行く。





「志緒ちゃんには…、会わんでよかとですか…?」


「…会いたいと思って会える子ではないからな」


「また……消えちょりましたもんね…」


「……俺にはそれくらいがちょうどいいんだと思う」



彼女の涙はいちばん見たくない。

それならば、俺が飛び立ったあとに現れて、俺の名前を何度か呼んでくれる程度でいいんだ。


生きる時間がちがう俺たちは、それくらいのすれ違いがちょうどいい。



「ウチ…、志緒ちゃんにひどいことをゆってしもた……」



志緒、許してやってくれ。
やえ子ちゃんはやえ子ちゃんで必死なんだ。

この時代は君が生まれた時代より、ずっとずっと優しくないから。



「大丈夫さ。…きっとまた、志緒は現れる」


「え…?」


「短い間だったが、いろいろありがとう。やえ子ちゃん」



本日の空は曇天。
朝から何機もの隼が空へと消えていった。

俺の出撃は夕方前となり、飛行場にて仲間や上官たちと儀式でもある盃を交わす。