1945年、君を迎えに行く。





「…レオ」


「な、なんだよシオねーちゃ───」



パンッ!!

初めて、弟を叩いた。



「な、なにすんだよ…っ」


「死ぬってのがどーいうことか分かってんの!?」


「っ…」


「消しゴムなんか言ってられないんだよ…!死ぬってのはもう2度と会えないだけじゃない、なんにも…、なんにも伝えられないんだよ…っ、……謝んなよ、ッ、いーからショータに謝れって言ってんの!!!」



私がここまで声を荒げたこともまた、初めて。

恐怖心だけで私を見ている怯えた目は、まだ状況を完全には理解していない。


見守っていた保育園組は泣き出して、騒ぎを聞いた中学生たちまで部屋から出てきた。



「なんでみんなオレばっか…っ、シオねーちゃんのバカ…!!」


「っ、レオ…!!」



施設を飛び出したレオは靴も履かず、夕方の空へと溶けるように消えていく。


どんなに喧嘩をしたとしても手を出してはいけない。

手を出したほうが負け。


これもまた、あすなろ園のルールだった。