1945年、君を迎えに行く。





ちがう。
私が熱なんか出したからだよ。

私が熱を出さなければハルミちゃんが水を汲んでくる必要はなかったし、私がここに来なければハルミちゃんが死ぬことはなかった。



「…わたし、が…、私が……」


「しっかりしろ、志緒。おまえのせいじゃない。…悪いのは戦争だ」



身体が動かない。
唾液がなにも出ない。

ああそうか、涙は感情があるから流れるんだ。

感情を理解する余裕もない今は、流れもしない。


かろうじて出せた声すら、苦しい。


お父さんとお母さんが死んだときも似たような感じだったと思い出す。

死体を見ることはなかったけれど、追いつかない実感と震え。


私のせい、私だけが、私が。


幼いながらにも自責の念に駆られていた。



「アメリカの野郎…、俺たちだけじゃなく、勝つためなら民間人や女子供まで狙うってのかよ……」



ギリッと歯を噛んだ風間さんは、ハルミちゃんの屍を見つめながら「許さねえ…」と、低い声で放つ。