私のために泣いてくれた若年性がんサバイバーに救われた話

ユノ
「イエリ、体調はどう?また手術したんでしょ?」

イエリ
『良くなってきました。今回も2ヶ所取っちゃいましたけどね。』

イエリは若年性がんサバイバーだ。

ボーカルスクール生だった頃も、たびたび体調を崩して入院していた。

「取った」とは比喩ではなく、病巣の摘出。

そんな彼女が選んだ職業は、フリーランスの薬剤師だ。

『自分と同じように病気で苦しんでいる人に、薬を直接届けたい』

イエリはそんな想いで、がんと闘いながら薬学部を卒業。

病室で国家試験の勉強を続け、見事パスした。

イエリはこっちに帰ってくるたび、患者さんに薬を届けた話を嬉しそうに語った。



ユノ
「あ…アリさんだ。」

地面を歩いていたアリさんが、私の手に登ってきた。

私はアリさんを近くの葉っぱにそっと乗せた。

イエリ
『…やっぱり先輩は優しいですね。あの頃と変わってないです。』

ボーカルスクール生時代、私は自作の歌詞ノートを受付に置いていた。

それを読んだイエリが気に入ってくれたのがきっかけで、私たちは仲良くなった。

イエリは『先輩の歌詞が好きです、優しさが伝わってくるところが特に』と言ってくれた。