偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


息を吸って一歩踏み出そうとした、そのときだった。

「きゃあ! 蒼空くんのグッズ、ゲットしたわ! 限定版も!」

その声に、私の体は氷みたいに固まった。

駅前の商業施設から、推しグッズを大量に抱えた真白さんが飛び出してきたのだ。

え、うそ……真白さん!?

「……あ」

私と景斗さんを見た瞬間、真白さんの笑顔が引きつった。

抱えていた大きな紙袋が、音を立てて足元に落ちる。

景斗さんは目を見開いたまま、二人の「如月真白」を見比べた。

まず本物の真白さんを、それから私を。もう一度、真白さんを。

「……」

三人とも、言葉が出なかった。

景斗さんの視線が、ゆっくりと私に戻った。

信じられないものを見るような、冷たくて鋭い目。

どうしよう……。

私はただ、震えることしかできない。