真白さんは少し考えてから、指を一本立てて答えた。
「西園寺景斗くん。隣の市にある男子校の超名門、『蒼門学院』の中等部2年生よ。私たちと同じ学年!」
蒼門学院……って、あの選ばれたエリートしか入れないっていう、超お坊ちゃま学校?
「彼は西園寺グループの跡取り息子で、成績は常に学年トップ。馬術部に所属していて、剣道の有段者でもあるんですって」
「馬術……。剣道……」
話を聞くだけで、くらくらしそうになる。私とは、住む世界が違いすぎる。
「去年の秋、保護者の集まりで一度だけ遠くから顔を見たことがある程度で、まだちゃんと話したことがないの。だから向こうも、私のことはほとんど知らないはず」
「……」
「礼儀正しいって聞いてるけれど、何を考えているか読み取れないっていうか……隙がないの」
嫌な予感が、背中を通り過ぎる。
「お願い、結城さん! 私の身代わりで、顔合わせに出てくれない!?」
真白さんが、私の手をがしっと掴んだ。
「あなたのメイクなら、私になりきれるでしょ!?」
「……え?」
ちょ、ちょっと待って!



