偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


その日の放課後。演劇部の部室で、台本の読み合わせをしていると。

──バンッ!

部室のドアが勢いよく開いた。

「結城さん! あなたのメイク技術、噂で聞いたわ!」

入ってきたのは、クラスメイトの如月真白さんだった。

頬が赤くて、息が少し乱れている。走ってきたんだろうか。

いつも整っているはずの栗色の髪が、わずかに乱れていた。

あの如月真白さんが、こんなにも必死な顔をするのか、と思った。

「……どうしたんですか?」

私は手を止めて、顔を上げた。

真白さんは大きく息を吸い込んで、一気に話し始めた。

「実は私、大の推し活女子なの! 5人組アイドルグループ『STELLA(ステラ)』の蒼空(そら)くんが大好きで!」

「え、推し活……?」

思わず、間の抜けた声が出てしまった。

あの学園のお嬢様が、アイドルの推し活?