偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


指先が震えて、私はスマホを落としそうになる。

反論したい気持ちと、「そうかもしれない」という気持ちが同時に湧き上がった。

私は資格も何もない、ただのメイクが好きなだけの中学生だ。

芽依ちゃんの声が変わったのも、みずきちゃんの笑顔が戻ったのも、本当に私のメイクのおかげだったんだろうか。それとも、ただの偶然だったのか。

暗い部屋の中で、自分の小さな手をじっと見つめた。

もしかして私……でしゃばりすぎたのかな。

さっきまで魔法の杖に見えていたブラシが、今はただの頼りない木の棒に見えた。



翌日の昼休み。屋上の踊り場に行くと、咲季がコンビニのおにぎりを二つ持って待ち構えていた。

「陽葵、顔が死んでるよ」

「そんなことない」

「ある。朝から全然笑ってないもん。何かあった?」

私は少し迷って、結局話した。

「……SNSに、アンチコメントがたくさん来て」

「どんな?」

「『所詮素人』とか、『顔出ししないのは自信がないから』とか。資格も何もない私が、でしゃばりすぎたのかなって」