あれから一週間ほどが過ぎた。
9月中旬の月曜日、実力テストの結果が返ってきた。
5教科、全部で95点以上。クラス順位、1位。
その数字を見て、ひとまずほっとする。
先生から答案用紙を受け取った私は、すぐに机の中にしまった。
「結城さん、またトップだ。すごいね」
前の席の子が振り返って言う。声のトーンは明るいけど、どこか他人事のよう。
「特待生だから、当たり前じゃない? 成績落ちたら、学費払わなきゃいけないんでしょ? 大変だね」
うん、大変だよ。心の中で答えて、「ありがとう……」と小さく口にした。
誰も悪意を持って言っているわけじゃない。ただ、事実を言っているだけ。
それでも「当たり前」という言葉は、毎回ちくりと心に刺さる。
私が夜遅くまで教科書と向き合っている時間は、誰にも見えないんだ。
成績を守らなきゃいけない。余計なことに関わっている暇なんてない──頭ではそう分かっているのに。
なぜか、あの目のことが頭の片隅に引っかかったままだった。
窓の外では、秋の虫が鳴き始めていた。
◇
昼休み。屋上に続く階段の踊り場で、咲季が私の顔を覗き込んだ。
「陽葵、大丈夫? また無理してない?」
「大丈夫。特待生だから、成績キープしなきゃいけないし」
「クマ、できてるよ」
咲季の指先が、私の目の下をそっとつつく。ちゃんと隠したつもりだったのに、さすが。



