画面を二度見した。数字は変わらない。コメント欄には、たくさんのメッセージが並んでいる。
『これで100均!? すごい!』
『お嬢様メイク、やってみたい!』
『この人、プロ!?』
しばらく画面を眺めて、それからゆっくりとスマホを置いた。
誰かに喜んでもらえた。それが純粋に、嬉しかった。
でも、『顔全体も見せて!』というコメントが、いつもより多い。
見てほしい、でも見られたくない。そのふたつが、ずっと私の中で綱引きをしている。
◇
登校すると、咲季がスマホを手に興奮した様子で話しかけてきた。
「ねえ、昨日バズってたメイク動画見た? すごかったよね!」
内心どきりとした。たぶん、私の動画のことだ。
「……そうだね」と、なるべく普通の顔で相づちを打つ。
すると、咲季が私の右手をじっと見つめた。
「……ねえ、陽葵。その動画の人、陽葵と同じところに小さなペンだこがあるんだよね。それに、ブラシの持ち方もなんだか……」
咲季はスマホの画面と私の手を交互に見て、何かを言いかけるように口を開いた。
「……咲季?」
おそるおそる聞き返すと、彼女は一瞬だけ真剣な目をした。
そのまま私の顔を見て、それから小さく息をついて──すぐに、いつもの明るい笑顔に戻った。
「ううん、なんでもない! やっぱプロは違うなーって思って」
気のせいかな? それとも……。
ざわつく気持ちを落ち着かせようと、私は自分の手を見つめた。
ペンだこの小さな膨らみが、いつもよりはっきり見える気がした。



