偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


それから彼と何度か会って、季節が変わった。

12月の下旬。冬のイルミネーションが灯る商店街を、景斗くんと二人で歩いていた。

青や白の光が、石畳の上に広がっている。吐く息が見えるほど冷えた夜だった。

「俺、親に話したんだ。絵を描く仕事がしたいって」

景斗くんが、前を向いたまま言った。

「本当に? どうだったんですか」

「まだ、許可はもらえてない。でも、話せた。それだけで、ちょっと楽になった」

「大きな一歩ですね」

私は微笑んだ。

「景斗くん、諦めないでくださいね」

「諦めないよ。陽葵が応援してくれてるから」

イルミネーションの光が、景斗くんの横顔を照らしていた。

最初に会ったとき、この人の目には遠い場所が映っていた気がした。でも、今は違う。

「私も、将来の夢が決まったんです」

「うん?」