美人秘書はCEOのお気に入り

この旅行に出ようと思ったのも、案外早く働く所が決まり心にゆとりができたからだ。

リネットの旦那様には感謝しかない。二人にはお土産を買っていかなくちゃと思っている。

その夜ホテルで夕食を取っていると、オーナーの女性が話しかけてくれた。

「今回の旅行はどう?たのしんでいる?一人旅の女性はちょっと珍しくて好奇心で聞いてしまったのだけれど、もし嫌なら何も言わなくてもいいのよ」

「ありがとうございます。実は30年程前に両親がハネムーンでこちらのホテルに泊まっているんです。ブッチャートガーデンにも行ったそうなんです。私も明日はブッチャートガーデンに行くつもりなんですが、両親のハネムーンを追いかけてみようと思って…そんな旅です」

「まあ、そうなの?30年前の何時頃かしら?ハネムーナーのカップルにはいつも何か一言書いてもらってるの思い出になるでしょう。だからご両親のも見つけられるかも」

「まあ、本当ですか。丁度30年前の今頃です。バラの綺麗な時にガーデンに行きたかったって言ってました。このホテルのお庭も沢山写真を取って来ていたので、よく見せてもらいました」

「あら、そうなのね。じゃあ探してみるわね」

そう言って事務所の方に行ってしまった。サラは期待せずに食事をしながら昼間携帯で撮った庭の写真を眺めていた。

少しするとオーナーは息を弾ませてサラの横に座った。

「ほら、これじゃないサチエ・フライヤーとリッキー・フライヤー、ここよ」

開いたノートのページを見せられた。そこには二人の若き日の写真も貼られていた。

“とても素敵なお庭に感激しました。私もいつか庭のある家に住めたらお庭でガーデニングを楽しめたら幸せです。サチエ”そしてその下には

“サチの夢をかなえるために頑張るぞ。庭のある家をプレゼントできるように一生懸命働くぞ”と書いてありその下にニコニコマークが書いてあった。

父はこのニコニコマークを気に入って缶バッジまで持っていたのにはちょっと引いたが、いつもメモに伝言などを書いたら必ずこのマークを最後に書いていたのだ。

それを見ると涙が溢れて来てしまった。そんなサラを見て

「ところでご両親はどうなさったの?」

「私一人残して、5年前に二人とも亡くなってしまいました」

「まあ」

オーナーはそっとサラを抱きしめてくれた。