美人秘書はCEOのお気に入り

仕事場からそう遠くない所に住むのがいいだろうと結論づけて、住む所は後回しにしてまづは仕事を決めなければいけない。

日本に行く前に新しい職場を得ることができたなら一番ありがたい。

日本の観光本を見て、少しテンションが上がった。今日早速由美に一緒に行かないかと聞いてみる事にした。

もし由美が一緒に行ってくれるなら、忙しい由美に日時は合わせるつもりだ。

求人誌は無料なのでそのコーナーへ行って何冊か手に取ると、横から手を伸ばしてその求人誌を取り上げる人がいた。

サラは思わず“えっ”と声を上げてその人を見て絶句した。

「僕は君の辞表を受理していないのに、他で働くところを見つけようとしている事が気に入らないな。それもこんな遠いところで…いったいどういう魂胆なんだ。せっかくバンクーバーで何とか被害を最小に抑えて帰って来てみれば、僕のお気に入りの秘書がどこかに行ってしまうなんて信じられないな」

「すみません。必ず引き継ぎはきちんとやります。でもあまり今は引き継ぎ事項もなくてちょうど切りがいいと思ったのですが」

「何が切りがいいんだ。ところで婚約者の話を鵜吞みにしているわけじゃないだろうね。僕のお気に入りは一人だけのはずだが…」

「でも、CEOのお母様がお連れになって婚約者だと紹介されましたし、婚約者の方が私がいては目障りだとおっしゃったのでこちらに戻ることにしたんです」

「あれは嘘だよ。大体食事したと言われても仕事の話しかしていないし、女の顔も覚えてないんだから、そういえばゴシップ紙に顔写真が載ってたな。でも明日にはすべて否定の記事が載るはずだから心配しなくてもいい。何度も言うがお気に入りはサラだけなんだから」

「でもネットにも大々的に公表されていました。叔母の由美も知っていたくらいですから…それにCEOも、もう結婚されてもいい年ですからお母様がご心配になるのは当然です」

「母親に妻まで世話されるつもりはないよ。ここにこんなに可愛くて美人で仕事ができる大のお気に入りがいるんだ。妻にはその人になってもらいたい」

「へえ?」

「へえ、じゃないよ。俺の妻はサラしかいない。もう逃げてもだめだからな、サラが男性不信で男性が苦手だと言うから遠慮していたんだが、もう遠慮しないからな」

そう言うとローランドはサラをがっちりと抱きしめて、唇にそっとキスをした。とっても優しいキスだった。