美人秘書はCEOのお気に入り

母親に連絡してすぐにナッテイの所に来てくれるように手配すると言って、ローランドはナッテイの家を辞した。

そういえばこの家もナッテイの名義になっているのだ。

ハリーの物は何もない損害賠償金など払えるはずもないなとローランドは苦笑しながら迎えの車に乗って、母親に連絡した。

そこで初めて婚約者がどうのこうのと言う能天気な母の言葉に我を失った。

どういう事だと冷たく言うローランドに母親は

「婚約者のアンナとシアトルのレイクフロントの家に行ったら、生意気な秘書がいたから追い出してローが帰って来るのを待ってたのよ。3日ほどいたけどローは一向に帰ってくる気配もないし秘書は休暇中だと言われて仕方がないので4日目にはニューヨークに帰ってきたのよ」

「婚約者って何の話だ」と聞くと、

「2カ月ほど前にNYで一緒に頭取と食事したでしょう?その時に一緒にいた孫娘のアンナよ。あなたも珍しくご機嫌で話をしていたじゃない。だから頭取と話して婚約させてしまいましょうという事になったのよ」

「勝手に婚約なんかさせてるんじゃない。その女の顔も覚えてない。僕には心に決めた人がいるんだから頭取にきちんと断りを入れておいてくれ、本当に油断も隙もないな。それよりすぐにナッテイの所に行ってやってくれナッテイが大変なことになっているんだ」

「どうしたのよ」

「行けばわかるよ。ケンドーに指示したからあと1時間でヘリで迎えが行く。すぐに出られるようにしておいてくれ。その前に頭取に電話を入れるのを忘れないように」

そう言ってローランドはシアトルに帰るべくバンクーバー空港に向かった。

すぐにサラに電話したがつながらなかった。

執務室の電話にも誰も出なかった。

サラは休暇を2日申請してきたのでOKはしたがもうそれも終わっているはずだ。

ローランドは嫌な胸騒ぎがした。