美人秘書はCEOのお気に入り

「キャサリンおば様、すごい家ですね。ニューヨークのお家も素敵ですけれどここはもう、別世界のようですわ。あら、その方は?」

やっとサラに気付いたその女性はサラを見て怪訝な顔をした。

「ローの秘書だって、ローはシアトルにはいないらしいの。2日前に電話した時は何も言ってなかったのに困った子ね」

「ああ、あなたが“CEOのお気に入り“とか言われている秘書ね。そう言われている事を鼻にかけて、会社でも大きな顔をしているらしいじゃない」

「そうなの?そんな事を言われているの?知らなかったわ。だからローが留守の間でも平気で出入りしているわけね」

「いいえ、そう言う訳では…」

サラの言葉にかぶせるように

「まあ、ローランドの留守の間に入り込んでいるなんて、何かなくなっている物がないかちゃんと調べてもらわないといけないですわ。おば様」

全く言いたい放題の令嬢だ。ニューヨークで遭遇したローランドの元恋人達よりも性格が悪いかも…

「そこまでではないと思うけど、ところで、ローは何処に出かけているの?」

「昨日出かけられまして、行く先は聞いておりません」

バンクーバーには内密の用事で言っているのだ。ナッテイのご主人の会社とは言えない。

「まあ、秘書のくせにCEOの出張先も知らされていないのね。とんだ秘書ね。信頼していないという事じゃないの。おば様もう引き取ってもらいましょうよ。私たちがローランドが帰るまでは留守番しているから大丈夫よ」

「そうね、サラこちらのアンナは大手銀行の頭取のお孫さんで2カ月ほど前にニューヨークでローランドに紹介して、ローランドも気に入ってくれたみたいで先日婚約者に決まったの。だからここは私たちがいるからもう帰ってもらってもいいわよ」

キャサリンがそう言ってアンナを紹介すると、アンナは胸を張ってサラを見下すような態度で、口の端を上げた。

「わかりました。では、失礼します」

そう言うとサラは急いでリビングに置いたバックをもってメイドにタクシーを呼ぶように頼んで、警備がいる表門迄歩いて行った。

重い気分で5分ほど歩いてやっと表門迄たどり着いた。