美人秘書はCEOのお気に入り

その夜の会食は散々だった。女性社長は酔ったふりでローランドにしなだりかかり、べたべたと触りまくって誘ってくるのだ。

いつもはサラが横に居てくれるので、ここまであからさまに迫られることはない。

やっとのことでペントハウスに帰るとサラはいなかった。ダイニングテーブルに”カードキーをお返しします”というメモと一緒にキーが置かれてあった。

サラがホテルに移ったのを寂しく思いながら、サラにラインするがもう23時を過ぎている既読もつかなかった。

サラがへそを曲げるのも仕方がない。

ここ最近の元カノたちの縦横微塵の振る舞いにはローランドも呆れるばかりだ。

今日の女も顔なんか覚えていない。

モデルらしいが前から後ろから抱き着いておまけに帰り際に唇にキスまでしていった。

連絡してと言って名刺をポケットにねじ込んでいったのだが、もちろん即ごみ箱行きだ。

サラには席を外す必要はないと言っているのだが、”ラブシーンを見せられるこちらの気持ちにもなってください”と言って毎回ケンドーの執務室に行ってしまう。

2人きりになるので余計に図に乗るのだ。

このところサラはまたCEOと呼ぶようになった。

サラに避けられて一線を引かれているのが寂しいが自業自得だ。

せっかく少しづつ距離を縮めていけていると思っていたのに、この頃は前より距離が開いた気がする。

ニューヨークに無理に連れてきたのが間違いだったのか?

ケンドーに相談すると因果応報、自縄自縛、ブーメラン症候群と言いたい放題だ。

自分で解決するしかないと言われてしまった。

サラは一足先にシアトルに帰っていった。

ローランドはサンサンプトンの実家に寄らなければならない。母の誕生日なのだ。

サラを誘ったけれど速攻で断られた。

”お母様は苦手です”とはっきり言われてしまいプレゼントを一緒に選んでほしいと言う願いも、“会った事もない方で住む世界の違う方の好みなんかわかりません”とこれも綺麗にスルーされた。

それで1日先に帰ることになったのだ。

プライベートジェットで一緒に帰ろうと言っても、CEOの彼女たちに邪魔されて仕事が溜まっていますので1日でも早く帰りたいと言って国内線の飛行機で帰っていった。

プライベートジェットを出すと言ったのだが、”たかが秘書にそんなことしていただかなくて結構です”と言ってとりつく島もない。