美人秘書はCEOのお気に入り

「実は君に僕の秘書をお願いしたいと思っているんだ。前職では優秀な秘書だったらしいね。マックも仕事が完璧で語学能力も半端ないと褒めていたよ」

「ありがとうございます。実は前職をやめたのは担当役員のセクハラで耐えられなくなったからなんです。最後にはストーキングまでされるようになってしまい到底我慢ができなかったのです。だから今回は秘書は希望リストから外して事務員で応募したんです」

サラは瞳に悲しみと憤りを宿し大きな目を潤ませて俯いた。

「それはマックから聞いている。だけど、僕のこちらでの仕事も幅が広がって来て、自分一人でスケジュール管理などするのが難しくなって来たんだ。それにわが社がビクトリア迄のフェリーの就航の許可が下りそうなんだ。そういうプロジェクトも立ち上げたいので、ぜひ力を貸してくれないか?」

そうかビクトリアのフェリーにローモアカンパニーも参入するのか、それは意欲を掻き立てられる。

今シアトルのダウンタウンからビクトリア行きの船は1社しかない為結構高い。

高速で時短をめざしているフェリーで旅客のみの運行だ。

車は乗せられない。船内にはカフェや売店はあるが、フードコートのようなレストランはない。

CEOの熱心な勧誘にサラはすぐに断ることができなかった。

マックに相談してからというと、マックには話が通っていると言われると、断る事も出来なかった。

まさかこんなに美形で紳士然とした人がセクハラなどする訳がないし…

でもサラはCEOに自分のトラウマや男性が苦手なことをきちんと話さなければと思った。

もし何かの席で必要以上に近くに寄られたり、酔って絡まれたりした時にパニックを起こさないとも限らないのだ。

前職の時も一度パニックを起こしかけて素早く上司が対応してくれて大事にはならなかったけれど、そう言う事は最初に話しておくべきだと言われた。

そのせいで秘書を外されることは無かったし、上司からは知っていれば注意をしてやれるからと言われて有難いと思ったものだ。

それで、CEOに時間のある時に話を聞いてほしいとお願いした。

その後でもまだ秘書にと思っていただけるなら考えますと言った。