美人秘書はCEOのお気に入り

サラはシアトルに帰ってくると、この小旅行をアルバムにして両親の思い出を形にしたのだった。

ビクトリアへの旅行でサラは両親の死を少し乗り越えられた気がした。

何より母の夢を父が叶えてあげていたことが誇らしかった。

二人は非業の最期を遂げたけれどそれまでの25年間はずっと幸せだったのだと改めて思う事ができた事が、サラにとっては大きな慰めとなった。

旅行から帰って10日後の月曜日にサラはすっきりとした明るい気持ちでローモアカンパニーに初出社した。

貿易の仕事は前にいた商社と流れはそんなに変わらなかった。

海運業の方は、貨物船がほとんどで今の所客船の運航はしていない。

港での輸出入の通関の書類の作成や契約書の作成が主な仕事になった。

基本は英語なので書類の作成はいいのだが、相手国からのメールなどはその国の言葉が使われる事が多いので、メールや電話は英語だけでは済まない場合もある。

相手国の言葉で書かれた文章を契約書には英語で書き換えなければいけないので、ちょっとしたニュアンスで違った意味になるフランス語などは特に気を付けなければいけない。

上司はマッキンレーことマックで、明るくて話しやすい40歳手前の男性で、主に仕事を教えてくれるのはマリリンと言って30歳で既婚者だ。

マリリンはサラが日本語、フランス語、北京語が完璧にできると知って大喜びしていた。

彼女はスペイン語はできるのだが、欧州関連ではフランス語が結構多くAIや辞書を片手にいつも契約書を作るのに奮闘していたので、サラにフランス語を頼めるのは自分の仕事の半分は楽になると言っていた。

男勝りではっきりと意見を言う彼女は裏表のない人でサラはすぐに好きになった。

ここに勤める人はまだ自分の部署の人しか知らないがとても接しやすい人ばかりでサラは安心して仕事になじんでいった。

CEOが前の海運業と貿易の会社を買い取ってローモアカンパニーと言う名前にしたそうだが、前の会社にいた人もローモアカンパニーに残った人が大半で、ローモアカンパニーになってからはマックやCFOで副社長のミケルシアことミケルと通関などの実務や貿易関係のリーダーのロンと新しく募集した人だけだという事だ。

マリリンはローモアカンパニーになってからお給料も少し上がったし何より福利厚生がすごく良くなったと言っていた。