美人秘書はCEOのお気に入り

なぜか高齢のご夫婦を見ているとそんな事を懐かしく思い出していた。

奥様は少し足が悪いようでご主人は奥様を守るようにゆっくりと歩調を合わせていた。

本当に仲の良いご夫婦だと感心してみているとサラの手の甲にぽたりと水が垂れた。

ええっ、雨?なわけない。こんなにいい天気なのだから…

サラは自分が泣いているのにその時気づいた。大きな涙が後から後から止めようもなく頬を伝っていた。

斜め掛けした小さなバックを開けてハンカチを出そうとしたがハンカチは入っていなかった。

バックパックのポケットに入れたままだったのを思い出した。

サラが手の甲で涙を拭こうとした時目の前に大きなハンカチが出された。

涙でその人の顔は見えなかったが、背の高い人で身なりのきちんとした人と言う事くらいしかわからなかった。

その人は耳障りの言い少し低めのセクシーな声で

「これ君にあげるよ。僕が持っているよりも君が使ってくれた方がこのハンカチも嬉しいだろうから」

そう言ってサラにハンカチを握らせるとさっさと行ってしまった。

「ええっ~」

とサラは呆気にとられたが、とにかく涙を拭いてハンカチをよく見ると男性用のハイブランドの物だった。

一枚300ドルはするだろう高級なハンカチを見て涙も止まってしまった。よかったけど…

急いで男性の去った方に行ってみたが見つける事は出来なかった。

サラは諦めてその後は日本庭園をみて、フェリーの時間に会わせてバスでまたインナーハーバー迄戻った。

フェリーの時間までには余裕があったので、もう少し買い物をすることにした。

カナダの特産のメイプルシロップなども売っていたのだ、由美とリカルドにお揃いのマグを買った。

地元のアーテイストの手作りのマグカップでおしゃれなものだったので自分の分も買ってしまった。