――パン、パン、パン。
その時。
静まり返った空間に、
乾いた拍手が響いた。
空気が、一瞬で張りつめる。
「素晴らしい」
階段の奥、
闇の中からゆっくりと声が落ちる。
「まさか、ここまで辿り着くとはね」
重い足音。
一歩ずつ、
こちらへ近づいてくる。
「ディランにも、
あまり嗅ぎ回るなと釘を刺しておいたのだが」
闇の奥から姿を現したのは――
ジョルジュ陛下だった。
私は息を呑む。
けれど、
すぐに背筋を伸ばした。
「……なんて、恐ろしいことを」
声は震えていない。
胸の奥は冷たいのに、
言葉だけはまっすぐ出た。
「恐ろしい、だって?」
ジョルジュ陛下が、
愉快そうに笑う。
「美しい、の間違いだろう?」
ぞくり、と背筋が粟立つ。
それでも私は目を逸らさない。
「この老いた身体で不老不死になっても意味がない。
――ディランの、美しい身体でなければね」
その声に、
祖父としての情は一切なかった。
ただ、
異様な執着だけが滲んでいる。
「さて……」
ジョルジュ陛下の視線が、
私たちを順番になぞる。
「君たちは、知りすぎてしまった」
仲間たちが身構える。
その中で、
オーウェン団長だけが呆然としていた。
「ジョルジュ陛下……
これは……どういうことですか」
震える声だった。
信じたくないのだろう。
ずっと忠誠を誓ってきた相手なのだから。
だが、
ジョルジュ陛下は薄く笑うだけだった。
「うむ。
今までよくディランを守ってくれた」
まるで褒美でも与えるような口調。
「君は扱いやすかったよ。
ディランの護衛騎士としても、
王国騎士団団長としても、
“王命は絶対”だからな」
ふむ、と顎に手を添える。
その言葉に、
オーウェン団長の顔から血の気が引いた。
「私は……
ずっと……」
利用されていた。
その事実を理解したのだろう。
ぎり、と剣を握る手に力が入る。
そして、
私たちの前へ出た。
「貴方は……
ディラン殿下を大切に思っていたのではないのですか」
「大切だとも」
ジョルジュ陛下が嗤う。
「私の所有物としてね」
その時。
静まり返った空間に、
乾いた拍手が響いた。
空気が、一瞬で張りつめる。
「素晴らしい」
階段の奥、
闇の中からゆっくりと声が落ちる。
「まさか、ここまで辿り着くとはね」
重い足音。
一歩ずつ、
こちらへ近づいてくる。
「ディランにも、
あまり嗅ぎ回るなと釘を刺しておいたのだが」
闇の奥から姿を現したのは――
ジョルジュ陛下だった。
私は息を呑む。
けれど、
すぐに背筋を伸ばした。
「……なんて、恐ろしいことを」
声は震えていない。
胸の奥は冷たいのに、
言葉だけはまっすぐ出た。
「恐ろしい、だって?」
ジョルジュ陛下が、
愉快そうに笑う。
「美しい、の間違いだろう?」
ぞくり、と背筋が粟立つ。
それでも私は目を逸らさない。
「この老いた身体で不老不死になっても意味がない。
――ディランの、美しい身体でなければね」
その声に、
祖父としての情は一切なかった。
ただ、
異様な執着だけが滲んでいる。
「さて……」
ジョルジュ陛下の視線が、
私たちを順番になぞる。
「君たちは、知りすぎてしまった」
仲間たちが身構える。
その中で、
オーウェン団長だけが呆然としていた。
「ジョルジュ陛下……
これは……どういうことですか」
震える声だった。
信じたくないのだろう。
ずっと忠誠を誓ってきた相手なのだから。
だが、
ジョルジュ陛下は薄く笑うだけだった。
「うむ。
今までよくディランを守ってくれた」
まるで褒美でも与えるような口調。
「君は扱いやすかったよ。
ディランの護衛騎士としても、
王国騎士団団長としても、
“王命は絶対”だからな」
ふむ、と顎に手を添える。
その言葉に、
オーウェン団長の顔から血の気が引いた。
「私は……
ずっと……」
利用されていた。
その事実を理解したのだろう。
ぎり、と剣を握る手に力が入る。
そして、
私たちの前へ出た。
「貴方は……
ディラン殿下を大切に思っていたのではないのですか」
「大切だとも」
ジョルジュ陛下が嗤う。
「私の所有物としてね」



