「……ここは?」
隠し扉の先は、本が壁一面に並ぶ密室だった。
逃げ場のない空間に、重く澱んだ空気が満ちている。
――黒い靄の気配。
間違いない。
探しているものは、この先にある。
「……あれを見て」
部屋の奥。
石造りの壁に、宝石を嵌めるためのくぼみがあった。
「仕掛け扉、ですか……」
ユウリが低く呟く。
「ここにあるのを、一つ嵌めればいいのか?」
レオが足元に置かれた宝石へ視線を落とす。
紅、翠、蒼――いくつもの宝石が無造作に並んでいた。
私は近づき、そっと宝石に視線を向ける。
「……黒い靄」
どの宝石にも、濃い執着と欲望が絡みついている。
「ここにあるのは、だめ」
思わず、声が漏れた。
「じゃあ、どれを嵌めるの?」
ルイの問いに、私は棚の奥を指さす。
埃を被った台座の上。
そこにあったのは、ほとんど透明に近い、小さな宝石。
触れた瞬間――
靄は、ない。
「……無垢。これだ」
その宝石を、残りのくぼみにそっと嵌める。
――カチリ。
低い音とともに、宝石が淡く光り出した。
「……来るよ」
次の瞬間、
壁が静かに割れ、仕掛け扉が開く。
「さすがお嬢様〜」
テオが緩く笑う。
「なんだか……不気味だな」
レオが小さく呟いた。
「行きましょう」
セナの声は低く、しかし迷いがない。
「うん」
私たちは光の消えた奥へと足を踏み入れた。
そして、その先には――
空気が変わった。
冷たさではなく、重さ。
まるで“何か”がこちらを待っていたかのような、静かな圧。
暗闇の奥で、かすかに何かが動いた気がした。
隠し扉の先は、本が壁一面に並ぶ密室だった。
逃げ場のない空間に、重く澱んだ空気が満ちている。
――黒い靄の気配。
間違いない。
探しているものは、この先にある。
「……あれを見て」
部屋の奥。
石造りの壁に、宝石を嵌めるためのくぼみがあった。
「仕掛け扉、ですか……」
ユウリが低く呟く。
「ここにあるのを、一つ嵌めればいいのか?」
レオが足元に置かれた宝石へ視線を落とす。
紅、翠、蒼――いくつもの宝石が無造作に並んでいた。
私は近づき、そっと宝石に視線を向ける。
「……黒い靄」
どの宝石にも、濃い執着と欲望が絡みついている。
「ここにあるのは、だめ」
思わず、声が漏れた。
「じゃあ、どれを嵌めるの?」
ルイの問いに、私は棚の奥を指さす。
埃を被った台座の上。
そこにあったのは、ほとんど透明に近い、小さな宝石。
触れた瞬間――
靄は、ない。
「……無垢。これだ」
その宝石を、残りのくぼみにそっと嵌める。
――カチリ。
低い音とともに、宝石が淡く光り出した。
「……来るよ」
次の瞬間、
壁が静かに割れ、仕掛け扉が開く。
「さすがお嬢様〜」
テオが緩く笑う。
「なんだか……不気味だな」
レオが小さく呟いた。
「行きましょう」
セナの声は低く、しかし迷いがない。
「うん」
私たちは光の消えた奥へと足を踏み入れた。
そして、その先には――
空気が変わった。
冷たさではなく、重さ。
まるで“何か”がこちらを待っていたかのような、静かな圧。
暗闇の奥で、かすかに何かが動いた気がした。



