音楽が、ゆるやかに流れはじめる。
自然と、視線が集まった。
――王子と、その婚約者。
会場の中心で向かい合った瞬間、周囲のざわめきが遠のいていく。
(決戦前だというのに……)
胸の奥は、不思議なほど静かだった。
むしろ、彼の手に触れた瞬間、すべてが落ち着いていく。
ディランが、私の手を取る。
もう片方の手が、そっと背に添えられた。
優しくて、迷いのない動き。
そして、私だけに向けられた微笑み。
「……やっと、君と踊れた」
その声音が、甘くて胸がくすぐったい。
「そうでしたか?」
少しだけ意地悪に返すと、
「だって」
彼は声を落とし、距離をさらに近づける。
「王妃教育の時は、君はすぐレイのところへ行ってしまっただろう」
「あー……」
苦笑しながらも、どこか嬉しい。
「仕方ないじゃないですか。ローゼがいましたし」
「だからこそ、だ」
真面目な顔で言われて、思わず息をのむ。
「かなり、妬いた」
「……そうなんですか?」
「ああ」
迷いなく頷く。
「みんな、君が綺麗だから見ている」
「違いますよ」
くるりとステップを踏みながら、そっと囁く。
「ディランを見ているんです」
「いや」
彼は少しだけ口元を歪めた。
「俺に向けられているのは、殺意だな」
「殺意?」
「ひしひしと、感じる」
そう言って視線を逸らす。
つられてそちらを見ると――
……テオ。
完全に、睨んでいる。
(ああ……)
思わず笑いがこぼれた。
「ふふ……」
「ほらな」
ディランが、どこか満足そうに言う。
その瞬間、指先がきゅっと絡められた。
ほんの少し強く。
離さないと言うように。
その温度が、胸の奥まで甘く染みていく。
自然と、視線が集まった。
――王子と、その婚約者。
会場の中心で向かい合った瞬間、周囲のざわめきが遠のいていく。
(決戦前だというのに……)
胸の奥は、不思議なほど静かだった。
むしろ、彼の手に触れた瞬間、すべてが落ち着いていく。
ディランが、私の手を取る。
もう片方の手が、そっと背に添えられた。
優しくて、迷いのない動き。
そして、私だけに向けられた微笑み。
「……やっと、君と踊れた」
その声音が、甘くて胸がくすぐったい。
「そうでしたか?」
少しだけ意地悪に返すと、
「だって」
彼は声を落とし、距離をさらに近づける。
「王妃教育の時は、君はすぐレイのところへ行ってしまっただろう」
「あー……」
苦笑しながらも、どこか嬉しい。
「仕方ないじゃないですか。ローゼがいましたし」
「だからこそ、だ」
真面目な顔で言われて、思わず息をのむ。
「かなり、妬いた」
「……そうなんですか?」
「ああ」
迷いなく頷く。
「みんな、君が綺麗だから見ている」
「違いますよ」
くるりとステップを踏みながら、そっと囁く。
「ディランを見ているんです」
「いや」
彼は少しだけ口元を歪めた。
「俺に向けられているのは、殺意だな」
「殺意?」
「ひしひしと、感じる」
そう言って視線を逸らす。
つられてそちらを見ると――
……テオ。
完全に、睨んでいる。
(ああ……)
思わず笑いがこぼれた。
「ふふ……」
「ほらな」
ディランが、どこか満足そうに言う。
その瞬間、指先がきゅっと絡められた。
ほんの少し強く。
離さないと言うように。
その温度が、胸の奥まで甘く染みていく。



