「それにしても……声まで変えてくるとは」
感心したように、ディランが小さく息を吐く。
「兄上から借りたのかい?」
視線が、そっと首元へ落ちる。
隠すようにつけていたチョーカーに、指先が触れ――つう……と、なぞられた。
「っ……」
くすぐったさと、妙な熱が走る。
反射的に肩が跳ねた。
「まあ……」
曖昧に返すと、
「まったく。油断も隙もないな」
呆れたようで、どこか楽しげな声音。
その響きが、胸の奥をくすぐる。
「……」
言い返せずに黙り込む私を見て、ディランは一拍置いてから、
「さて」
と、空気を柔らかく切り替えた。
「お茶に付き合ってくれないか?」
「い、いえ。そんなことをしている場合では――」
任務。潜入。時間。
言いかけた瞬間、
「多少の息抜きをしないと」
まっすぐな視線が、逃げ道を塞ぐ。
「判断力も、集中力も落ちる」
「……」
「それに」
声が、少しだけ低く甘くなる。
「君は今、一人で抱え込みすぎだ」
図星すぎて、胸がきゅっとなる。
「短時間でいい。俺と話すだけでいいから」
優しいのに、拒めない誘い方。
まるで、手のひらで包み込まれているみたいだ。
(……ずるい)
「……少しだけ、ですよ」
そう答えた瞬間、
ディランはふっと目元を緩めた。
「十分だ」
その笑みがあまりに嬉しそうで、
――ああ、この人、本当に最初から逃がす気なんてなかったんだ。
そう思わされるほど、甘くて、近い。
感心したように、ディランが小さく息を吐く。
「兄上から借りたのかい?」
視線が、そっと首元へ落ちる。
隠すようにつけていたチョーカーに、指先が触れ――つう……と、なぞられた。
「っ……」
くすぐったさと、妙な熱が走る。
反射的に肩が跳ねた。
「まあ……」
曖昧に返すと、
「まったく。油断も隙もないな」
呆れたようで、どこか楽しげな声音。
その響きが、胸の奥をくすぐる。
「……」
言い返せずに黙り込む私を見て、ディランは一拍置いてから、
「さて」
と、空気を柔らかく切り替えた。
「お茶に付き合ってくれないか?」
「い、いえ。そんなことをしている場合では――」
任務。潜入。時間。
言いかけた瞬間、
「多少の息抜きをしないと」
まっすぐな視線が、逃げ道を塞ぐ。
「判断力も、集中力も落ちる」
「……」
「それに」
声が、少しだけ低く甘くなる。
「君は今、一人で抱え込みすぎだ」
図星すぎて、胸がきゅっとなる。
「短時間でいい。俺と話すだけでいいから」
優しいのに、拒めない誘い方。
まるで、手のひらで包み込まれているみたいだ。
(……ずるい)
「……少しだけ、ですよ」
そう答えた瞬間、
ディランはふっと目元を緩めた。
「十分だ」
その笑みがあまりに嬉しそうで、
――ああ、この人、本当に最初から逃がす気なんてなかったんだ。
そう思わされるほど、甘くて、近い。



