第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない


ルイ side

みんなは王国へ潜入中。
私はというと、隠れ家でティアナちゃんが式典で着るドレスの最終調整をしていた。

パーティーから一瞬で戦闘服へと変わるよう、何度も改良を重ねてきた特製のドレス。
妥協なんてできない。
動きやすく、そして美しく――その両方を満たすことが絶対条件。

「……よし、これでいいわね」

私はそっとドレスを広げる。
光を受けて布がふわりと揺れ、仕込んだ細工がわずかにきらめいた。

「相変わらず素晴らしいですね」

振り返ると、ティアナちゃんの侍女・アリスが立っていた。
普段はクールな彼女だが、その瞳にはわずかに不安の色が滲んでいる。

「あら、アリスちゃん。ありがとう」

「……お嬢様、大丈夫でしょうか」

「大丈夫よ。みんないるわ。もちろん私もね」

「……はい」

アリスは小さくうなずいたが、その指先はかすかに震えていた。