「……もし」
俺は一度だけ息を整え、まっすぐ殿下を見た。
怖さはある。けれど、それ以上に“言うべきこと”がある。
「お嬢さんだったら、こう言うと思います」
ディラン殿下の視線が、鋭く俺に向く。
その圧を正面から受け止める。
「ローゼ様とスーザ様については――
もう、十分怖い思いをしたはずだと」
魔宝獣に襲われたと聞いた。
あれを経験したなら、もう二度と軽率な真似はできない。
「だから、お嬢さんには二度と近づけないようにして、
表に出ない形で責任を取らせると思います」
一拍置き、はっきりと言う。
「……命までは、奪わない」
次に、刺客へ視線を向ける。
男は怯えていたが、俺は目を逸らさなかった。
「この人についても同じです」
「やったことは許されません」
だが、と続ける。
「陛下に使われただけなら……
また、同じことが起きます」
俺は胸を張って言った。
「生かしたまま、
二度と刃を握れないようにする」
それが、お嬢さんのやり方だ。
優しさと強さを両立させる、あの人らしい選択。



