「……はあ」
ディラン殿下が、深く、長く息を吐いた。
その仕草ひとつで、空気が凍りつく。
「さて。どう落とし前をつけるか」
声は低く、冷え切っている。
怒りすら感じられない――だからこそ恐ろしい。
(ひぇ……これ、本気で怒ってるやつ……)
ローゼとスーザの肩が、ガタガタと震えた。
殿下が一歩踏み出すだけで、2人の呼吸が詰まる。
「も、申し訳……ありません……」
スーザが、喉をひきつらせながら言う。
「わ、わたくしは関係ありませんわ!」
ローゼが必死に否定する。
だが――。
「関係ない? 言葉を選べ」
殿下の声が、刃物のように鋭く落ちた。
「君がティアナにしてきた嫌がらせは、すべて把握している。
渋いお茶、陰口、教科書のイタズラ……」
一拍置いて、さらに冷たく。
「そして――ティアナの指を傷つけた。
花びらにガラス片を混ぜてな」
ローゼの体がビクッと跳ねる。
「俺が気づかないとでも思ったのか」
その声音は、底なしの冷たさだった。
(……と、とりあえず浮気じゃなかったー!!)
心の中で思わずガッツポーズ。
(よかった!
ほんとによかった!!)
「……そして」
殿下の視線が、刺客へと向く。
空気が一段と重く沈む。
「お前だ」
「ひぃっ……!」
刺客の喉が鳴る音が聞こえるほどの沈黙。
「誰に命じられた?」
逃げ場のない声。
拒否も嘘も許さない声音。
刺客はしばし黙り――ついに折れた。
「……ジョルジュ陛下だ」
その名が出た瞬間。
「やはりな」
殿下は微動だにしない。
驚きも怒りも見せない。
ただ、事実を確認しただけのように淡々としている。
(うわぁ……)
(お嬢さんの言ってた通りじゃん……)
背筋がぞわりと冷える。
(これ……
俺、聞いちゃいけないやつ……
めちゃくちゃ聞いてない?)
息を殺し、俺はベランダの影にさらに身を沈めた。
ディラン殿下が、深く、長く息を吐いた。
その仕草ひとつで、空気が凍りつく。
「さて。どう落とし前をつけるか」
声は低く、冷え切っている。
怒りすら感じられない――だからこそ恐ろしい。
(ひぇ……これ、本気で怒ってるやつ……)
ローゼとスーザの肩が、ガタガタと震えた。
殿下が一歩踏み出すだけで、2人の呼吸が詰まる。
「も、申し訳……ありません……」
スーザが、喉をひきつらせながら言う。
「わ、わたくしは関係ありませんわ!」
ローゼが必死に否定する。
だが――。
「関係ない? 言葉を選べ」
殿下の声が、刃物のように鋭く落ちた。
「君がティアナにしてきた嫌がらせは、すべて把握している。
渋いお茶、陰口、教科書のイタズラ……」
一拍置いて、さらに冷たく。
「そして――ティアナの指を傷つけた。
花びらにガラス片を混ぜてな」
ローゼの体がビクッと跳ねる。
「俺が気づかないとでも思ったのか」
その声音は、底なしの冷たさだった。
(……と、とりあえず浮気じゃなかったー!!)
心の中で思わずガッツポーズ。
(よかった!
ほんとによかった!!)
「……そして」
殿下の視線が、刺客へと向く。
空気が一段と重く沈む。
「お前だ」
「ひぃっ……!」
刺客の喉が鳴る音が聞こえるほどの沈黙。
「誰に命じられた?」
逃げ場のない声。
拒否も嘘も許さない声音。
刺客はしばし黙り――ついに折れた。
「……ジョルジュ陛下だ」
その名が出た瞬間。
「やはりな」
殿下は微動だにしない。
驚きも怒りも見せない。
ただ、事実を確認しただけのように淡々としている。
(うわぁ……)
(お嬢さんの言ってた通りじゃん……)
背筋がぞわりと冷える。
(これ……
俺、聞いちゃいけないやつ……
めちゃくちゃ聞いてない?)
息を殺し、俺はベランダの影にさらに身を沈めた。



