「……だけどな」
アラン殿下はふいに真面目な顔つきになり、
「弟は、君と出会ってから明らかに変わった」
力強く断言した。
「人形みたいだった弟がだぞ?
自分で考えて、悩んで、勝手に動き出したんだ」
「それ、普通では?」
思わず口を挟むと、
「いや、全然普通じゃない」
即答。
「今もそうだ。君のことになると――」
急に身振りが大きくなる。
「感情を、これでもかってくらい露わにする!」
胸に手を当てて、さらに熱が入る。
「この前なんてな、
“あっ、今ディランが俺に嫉妬してる”って思って」
「……は?」
「兄としてはな?」
やや大げさに胸を張り、
「私を意識してくれてる!
そして成長していると感じ、正直猛烈にドキドキした!」
その熱量に、私は思わず引き気味になる。
横を見ると、セナが小さく頷いた。
「……なるほど」
アラン殿下は満足そうににこにこしている。
「要するに」
セナが淡々とまとめる。
「アラン殿下は――
重度のブラコンということですね」
「何を今さら」
即答。
「俺は誇りを持ってるよ。あんな可愛い弟がいてな」
胸を張るアラン殿下。
(……公言するタイプだった。それ本人に言ってあげてよ)
「それで?」
急に真面目な表情に戻る。
「他に聞きたいことはあるかい?」
私は一拍置いてから、切り出した。
「北側の部屋について、
ご存知はありますか?」



