第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「なるほど。それで、この後はどう動きますか?」

セナが当然のようにこちらを見る。
――すでに指示を待つ体勢だ。

「王国創立記念式典があるのは、知ってる?」

その言葉に、皆が一瞬だけ顔を見合わせた。

「騎士団からも参加者が出ますよね。まだ誰が行くかは決まっていませんが」

アレンが答え、ロベルトも短く頷く。

「王国創立記念式典は、人の出入りが非常に多い」

私は静かに言葉を選んだ。

「その混乱に紛れて――」

一拍置いて、告げる。

「潜入する」

「……潜入、ですか」

ユウリが低く呟いた。

「うん。正直に言うと、怪しい部屋はいくつか見つけられたわ。アリスの協力でね」

アリスが控えめに頷く。

「でも、実際に侵入するとなると……協力者が必須なの」

「それは、そうですね」

オリバー副団長も静かに同意した。

「なら、ディラン殿下がいるじゃん!」

レオが明るく言うが、私はゆっくりと首を振る。

「正直に言うと……ディランには、確実な証拠が出るまで伏せておきたい」

「ど、どうしてですか?」

レオが目を見開いた。